紅葉の季節が終わると、軽井沢は少しずつ冬の顔になっていきます。夏の賑わいを知っている方ほど、冬の軽井沢がどんな様子なのか想像しにくいかもしれません。
寒さは厳しく、日が暮れるのも早い季節です。それでも私たちは、人が少なく静けさを味わえるこの時期も、軽井沢らしい時間だと考えています。冬の軽井沢の気候と、森と食卓で起きていることを、順にお伝えします。
軽井沢の冬の寒さと雪を、平年値で確かめる
気象庁が軽井沢で観測した、1991年から2020年までの平均の値(平年値)で冬の様子を見てみます。一月の平均気温は-3.3度で、日の最低気温の平均は-8.2度です。二月も最低気温の平均は-8.0度で、真冬の朝は氷点下が続くと考えておいてください。
意外に思われるかもしれませんが、冬の軽井沢は夏よりも日照時間が長くなります。一月の日照時間は181.6時間、二月は191.8時間で、七月の138.6時間を上回ります。降水量も一月・二月はそれぞれ36.8ミリと少なめです。
雪は、一年に降る量を足し合わせると141センチになります。いちばん多いのは一月の44センチで、三月にも33センチ降ります。一冬のうちで最も深く積もったときの深さは、平年で35センチです。
ただ、雪の多い少ないは年によってずいぶん違います。二月まで大した雪がなく、三月に入ってからまとまって降り、その量に驚いた冬もありました。数字はあくまで目安として、お出かけの前にその年の天気を確かめていただくのが安心です。
冬の森は、静かに春を待っています
山菜からはじまる私たちの山通いは、晩秋のきのこで一年を締めくくります。シモフリシメジやクリタケに続いてムラサキシメジが顔を出すと、その年のきのこの季節もそろそろ終わりです。
山が冬へ向かう合図は、浅間山からも届きます。晩秋になると浅間山が白くなりはじめ、朝晩の気温も下がってきます。
冬のあいだ、森はほとんど何も差し出してくれません。葉を落とした木々の間は見通しがよくなり、夏とはまるで別の場所のように静かです。山へ入らない日が続くこの季節は、春からの料理を考える時間にもなります。
雪は、春の山にもつながっています。三月にまとまった雪が降ると、山菜の始まりである蕗の薹の出る時期や育ち方に響くからです。冬の空を見上げながら、私たちは春の山の具合を気にしています。
冬の食卓に、何が並ぶのか
冬の信州は、凍みた空気の中で根菜が甘みを増す季節です。白菜や信州の畜産物も冬の食材で、じっくりと火を入れた料理と〆のStaubご飯がいっそう染みる時期でもあります。
山からの恵みが細る冬は、海のものを取り合わせる季節でもあります。2025年から2026年にかけての冬は、北海道のタラバ蟹を活けのまま取り寄せたり、十二月の頭からカラスミを仕込んだりしながら、海のものをどう一皿にするかを考えていました。毛蟹とセロリラブのフランにキャビアのクリームを合わせ、温かいオードヴルとしてお出しした年もあります。
信州の冬の根菜に、遠くの海のものを重ねる。メリ・メロだから、この組み合わせになる。晩秋には、アナグマやツキノワグマのパテのように、山の肉を使った一皿をお出ししたこともありました。
冬の皿は、その年に手に入るものと天候で変わるため、ここに挙げたものが毎年並ぶとは限りません。季節ごとの食材は信州の食材のページに、料金とコースの組み立てはおまかせコースと料金のページでご覧いただけます。
冬の軽井沢へお越しになるときに
まず、服装は一段暖かくしてください。日中は晴れていても、日が傾くと気温は一気に下がります。夜の食事のあとに外へ出ると、平地の冬とはまるで違う冷え込みを感じられるはずです。
次に、雪への備えです。予報になかった雪が降ることもあります。お出かけの前に天気を確かめ、雪への備えをしたうえでお越しください。
そして、冬は日が短い季節です。明るいうちに森や町を歩いておき、暗くなってからは暖かい場所で過ごす。そう組み立てておくと、寒さに追われずに一日を終えられます。人の少ない冬の軽井沢は、予定を詰め込まずに過ごすほうが似合うように思います。
もう一つ、冬のなかでも人の集まる時期があります。クリスマスと年末年始です。これまでも、この時期の夜は早くから席が埋まっていく年がありました。日にちが決まっているなら、早めにご予約いただくと安心です。
冬の夜の、小さなフレンチレストラン
私たちの店は、冬のあいだも営業しています。今季は十一月六日から、ランチをお休みしてディナーのみの営業となり、夜は18時30分からお迎えします。期間中のご案内とご連絡の方法はアクセス・営業時間に、年末年始の営業日は年末年始・元旦の営業のページに載せています。
夏の忙しさが落ち着いた冬の店には、ゆったりとした時間が流れています。冬の夜の食事は、急がずに過ごしていただくのがいちばんだと思います。
席はテーブル十六席とカウンター四席で、お出しするのはその日のおまかせコースだけです。苦手な食材やアレルギーは、ご予約の際に必ずお知らせください。おまかせのコースのため、当日のご対応はいたしかねます。お子さまは、中学生以上の方、または大人と同じコースを召し上がれる方に限らせていただいております。
夏の軽井沢しかご存じない方にこそ、一度冬の夜に来ていただきたいと考えています。冷えた体で席に着き、温かい一皿を待つ。冬にしか味わえない食事の時間を、ご用意してお待ちしています。